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成井シル 2023/11/09 公開 2023/11/09 17:34 更新
第一次世界大戦時、ドイツ軍最高のエース・パイロットだったマンフレート=フォン=リヒトホーフェン、通称『レッド・バロン』。「真のパイロットは、死ぬまで操縦桿から手を離しはしない」と語っていた男は、その言葉通り、空で命を燃やし尽くした――……。
――そことは違う次元に、人類と異形の怪物が戦い続ける世界があった。敵は、人の形をしながらにして人にあらず、歩くだけ、息をするだけでも周囲に不快な音を撒き散らすことから、|騒音(レルム)と呼ばれていた。人と怪物は決して相容れず、互いに敵対者であり続けた。彼らとの戦争は、人類の歴史そのものだった。
戦争は、あらゆる技術を劇的に進化させる。とりわけ、世界に棲む動物達の兵器転用は白熱した。犬、馬、鳥――そして飛竜。怪物は人類に先んじて飛竜操作技術を確立させ、航空戦力を組織するに至る。史上初となる空からの攻撃に、人類はなす術もなく敗走を続け、ついには首都までもが陥落。人類も稚拙な飛竜空軍を各地で急造するが、次々と壊滅していった。
やがて辺境の地にまで戦火が伸びたとき、一騎の赤い飛竜が大空に飛び立った。青空の中、敵性飛竜を次々と撃墜していく飛竜を駆る少女の名は、エリカ=エア=レーザ。少し勝ち気で勇敢なだけの村娘だった彼女の中では、かつて『レッド・バロン』だった頃に培った空戦技術が覚醒していた。
竜の中で最も気位が高く、その存在は天災に等しいとまで言われる赤い飛竜に跨り、『レッド・バロン』は今一度、空を駆ける。
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