ローファンタジー 完結・全18話

公爵が毎朝わたしを忘れるのは、わたしを一番愛しているせいらしい

臥裳斗真 2026/10/31 公開 2026/10/31 20:44 更新

あらすじ

 三十日後、公爵アルヴィンは私を完全に忘れる。

 王太后から命じられたのは、彼の葬礼服を仕立てること。
 けれどアルヴィンは死なない。
 手首に刻まれた白い枝が毎朝一本ずつ消え、そのたびに、なぜか私との記憶だけを失っていく。

 昨日の会話も。
 私の名前も。
 私に触れたことさえも。

 それなのに――。

「砂糖は、一つだ」

 初対面のはずの彼は、私の好みを知っている。

 針を刺しそうになれば、先に手が動く。
 熱い紅茶には、何も考えず手を伸ばす。
 私の名前を呼びかけて、なぜか途中で言い直す。

 そして毎朝、彼は昨日の自分から届いた手帳を読む。

 そこに何が書かれているのか、私は知らない。

 残された朝は、あと三十回。

 私を忘れていくはずの人は、
 どうして毎日、もう一度私を気にするのだろう。

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