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赤兎 優馬 2026/10/23 公開 2026/10/30 23:00 更新
江東の小覇王・孫策。
若くして江東を平定し、天下にその名を轟かせた英雄は、建安五年(200年)、志半ばにして命を落とした。
――その最期に、奇妙な光景を見た。
争い合う孫家の血族。朝廷から追われる忠臣たち。燃え落ちる宮殿。そして、見知らぬ軍勢に踏みにじられる孫呉の旗。
さらに、どこからともなく響く謎の声が、三つの言葉を告げた。
それから二十五年後。
呉王・孫権の長男、孫登は、十六歳のある日、突然前世の記憶を取り戻す。
自分がかつて、孫策だったことを。
……待て。仲謀、お前は俺の弟ではなかったか?
かつて自分が後事を託した弟が、今度は自分の父親になっている。
しかも、孫登は、武勇に優れた小覇王とは正反対の、学問を好む温厚な少年だった。
前世では戦場を駆け、武勇と決断で江東を勝ち取った孫策。しかし今世で待ち受ける敵は、魏でも蜀でもない。
疑い深くなっていく父。権力を求める宮廷の人々。皇族の間に生まれる亀裂。そして、いつか訪れるはずの、自分自身の死。
未来の歴史など知らない。天の声も、何一つ詳しく教えてはくれなかった。
それでも孫策には、弟の性格も、江東を支える者たちの価値も、誰よりよく分かっているつもりだった。
だが、孫権はもう、かつての幼い弟ではない。
かつては江東を手に入れるために生きた男が、今度は江東を失わないために生きる。
これは、死してなお孫呉を見捨てられなかった小覇王が、弟の息子として二度目の人生を歩む、もう一つの三国志である。
※この物語はフィクションです。歴史のリアリティに関しては努力しますが、至らない点も多々あるかと思います。
※孫登を知っていても知らなくても楽しめるように頑張ります。
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