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街角のコータロー 2026/03/18 公開 2026/06/23 19:00 更新
この世界の武器は、魔力鋳造で作られている。
魔術師が鋳型を作り、魔力で一瞬で武器を生成する技術。
速い。安い。大量生産。
その結果――
鍛冶師という職業は、時代遅れの役立たずになった。
剣は消耗品。
折れたら次を配ればいい。
武器は戦場で使い捨てられるもの。
そういう常識の世界だった。
⸻
魔王軍の片隅で働く鍛冶師タクミも、
そんな「役立たず職」の一人だった。
だがある日、前線から運び込まれた剣を見て気づく。
「……これ、折れる」
実際、戦場では武器破損による死亡が多発していた。
誰も気にしていない。
なぜなら武器は量産できるからだ。
だがタクミは違った。
彼は前世で刃物職人だった。
鋼の配合。
焼き入れ温度。
刃の角度。
細かな調整を繰り返し、武器を作り直す。
⸻
最初に使ったのは、前線兵士リアナの部隊だった。
結果は――
戦死者ゼロ。
次の戦闘でも。
その次の戦闘でも。
「工房の武器を持て」
「死にたくなきゃあれを使え」
いつしか前線でそんな噂が広がり始める。
⸻
武器を改良すれば、仲間は死なない。
その考えは少しずつ戦場を変えていく。
やがて噂は魔王軍中枢へ届く。
⸻
「鍛冶師を呼べ」
魔王アルドはそう言った。
「その武器を見せろ」
⸻
これは
戦場で仲間を死なせないために剣を打つ、
一人の鍛冶師の物語。
武器が変われば、戦場が変わる。
そしてその小さな工房は――
やがて戦争の流れすら変えていく。
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