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狭山ひびき 2026/10/04 公開 2026/10/30 19:40 更新
ある春のこと。
紅龍国の後宮内で、桑儷杏の焼死体が発見された。
先日後宮入りした「美人(妃)」の一人である黄翠花は、他の「美人」たちとともに呼び出された。ほかならぬ、皇帝に。
紅龍国の皇帝・冷麗孝は二十二歳の若き皇帝であるが、女性に興味がないことでも有名だ。ゆえに皇后はおろか、三妃も不在。現在は翠花たち「美人」が後宮内の女性の頂点である。
もっとも、皇帝がまったく通わないので、「美人」とはいえ名ばかりだ。皇帝が通い気に入られれば三妃の位をいただくこともあるだろうが、そんな日は来ないと翠花は思っていた。というか、来てもらったら困るのだ。翠花は別に、皇帝の妃になりたいわけではないのだから。
皇帝に呼び出された翠花は、彼の口から、美人の一人である欧梓瑜の暮らす宮が全焼し、中から桑儷杏が発見されたと報告を受けた。
そう言えば昨夜遅く、後宮の一角で火事があったと騒がれていたのを思い出した翠花は、そこでふと疑問に思う。どうして、欧梓瑜の宮から発見された遺体が桑儷杏のものなのだろうか、と。
疑問に思う翠花に、皇帝は言う。
桑儷杏は何者かによって殺され、その犯人は皇帝によって集められた翠花の中にいる可能性が高いのだと。
殺人の罪を犯せば死罪となる。それは、後宮内であっても同様だ。
翠花は自らに掛けられた嫌疑を晴らすべく、犯人捜しをはじめることにするのだが――
※アルファポリス『第1回新エンタメ小説大賞 奨励賞』受賞しました。
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