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新垣加々良 2020/09/12 公開 2020/09/12 16:55 更新
「おい、何とか言えよ。お前が、杉田の財布盗んだんだろ!?」
「お、俺じゃねぇ!ぜ、絶対違う、俺は杉田の財布を盗んだりなんかしてない」
「じゃあ、他に誰が盗んだんだよ、千佳も、お前が杉田のカバンを触っているところ見たって言ってるんだぞ!」
「そ、そんなの、デタラメだ。お、俺は、ぜ、絶対に杉田の財布なんか盗んでなんかねぇ!!」
「はぁぁぁあああ?なによ、あたしが嘘をついたってあんたは言いたいわけ?ねぇ、どうなのよ?」
「べ、別に俺は秋山さんが、嘘をついたなんて、い、言ってるわけではない」
「はぁ、じゃあ、どう意味で言ったのよ!?」
「そ、それは……」
教室内に緊迫した空気が漂う。
誰も彼もが下を向き、私は関係ありません、といった顔をしている。
嫌な空気だ。
この空気を変えるには、昼休みが終わり、5時限目の担当教師が来るのを待つしかないだろう。
だが、この嫌な空気を打開したのは意外な人物だった。
「あっ、あっ、あっ」
息が詰まって、苦しそうな声が、沈黙した教室内に響く。
その声を発したのは、財布を盗んだ犯人だと思われている、次皿 掏摸(つぐさら すり)ではない。
まったく、話には関わっていない一人のモブキャラが声を発したのだった。
まわりからは、居ても居なくても変わらない、空気のような人物が、この空気を変えたのだ。
ちなみに、このモブキャラこと、空気田 茂夫(からきた しげお)十六歳がこの物語の主人公である。
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