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竜の牙 2026/09/25 公開 2026/09/26 06:10 更新
帝国との戦争が続く時代。
戦闘特化兵《センチネル》の恐怖、痛み、攻撃性、報酬系まで神経へ直接触れて調整する《ガイド》は、部隊にとって命綱である。同時に、本人の意思とは別に、恐怖や信頼や身体の反応まで動かせる危険な存在でもある。
最上位SSS級ガイド、イリア・ソーンは、コンコード《ハルシオン》の五人の最期を看取り、残る十人を帰還させた末に死亡した。
その後継として目を覚ましたのは、C級ガイドのアリ・ヴェイ。
記憶はない。
なのに頭の中には、知らない十人の鼓動がある。
十人はイリアを失ったばかりだ。アリを望んでいない。代わりにする気もない。
それでも彼らの神経は、アリが近づくだけで反応する。
安心する。苛立つ。欲しがる。拒絶する。
そしてアリには、その反応そのものを変える力がある。
「絆は、おまえに支配力を与える。だが、支配力は許可じゃない」
死者のふりはしない。
嫌われたからといって、好かれるように書き換えない。
同意を作るために、相手の心へ触れない。
そう決めたアリの出力は、何度測ってもC級のまま。
だが彼女は、十人を強く押さえつける代わりに、一人ずつ違う返りを聞き分け始める。
死んだ女を求める十の神経と、死んだ女にはならない一人のガイド。
その関係が形になる前に、ハルシオンへ次の出撃命令が下る。
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