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小林野ばら 2026/08/23 公開 2026/09/07 10:18 更新
三年前、文は聡太と別れ、響子はすべてを捨てて英秋と結婚した。
三十八歳になった文は、表参道のセレクトショップでディレクターを務め、世界中を飛び回っている。仕事も地位も手に入れた。けれど、誰かを救うことで自分の価値を確かめようとしていたかつての彼女は、今、他人の人生の残骸に値段をつけながら、自分の内側にある空洞だけを育てていた。
パリから帰国した夜、大手町の会員制スパで、文は一人の男と出会う。
九条英秋の元担当編集者で、現在は編集長を務める新田。
彼は初対面のはずの文に告げる。
「あなたは、本当は自分が灰になるのを待っているんじゃないかな」
文が仕事という名の鎧の下に隠してきた絶望を、新田は一瞬で見抜いた。しかも彼は、三年前の文を知っているという。
一方、ダブル不倫の末に英秋と再婚した響子は、略奪の先にある静かな日常を生きていた。すべてを壊して手に入れた愛は、幸福というより、互いの人生を破壊した責任を生涯引き受け合う共犯関係へと姿を変えている。
新田と出会った文の瞳に、三年前の自分と同じ火を見た響子は、西麻布での食事に彼女を誘う。
英秋と響子。
新田と文。
かつてすべてを焼き尽くした二人と、これから火の中へ踏み込もうとする二人が、同じテーブルで向かい合う。
別れた後に残るものは、本当に自由なのか。
奪った後に続くものは、本当に幸福なのか。
誰かの人生ではエキストラだった女たちが、再び自分の物語の主役になるために、愛という名の火傷を選び直す。
『東京エキストラseason3』、三年後の物語。
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