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あぐり りょう 2026/05/16 公開 2026/09/06 20:00 更新
恋を知らない男は、人を好きになる順番も知らない。
朝比奈玲、二十八歳。
東央グループ本社・経営企画室長。
名家の分家に生まれ、仕事は完璧。
容姿端麗で、異性関係に困ったこともない。
誰もが認める、非の打ちどころのない男。
ただ一つ。
――恋だけは知らなかった。
箱根の高級旅館で開かれた宴席。
そこで玲は、芸名「さゆり」として働く一人の女性と出会う。
明るく、愛嬌があり、場を和ませる。
最初は、それだけの存在だった。
少なくとも、玲はそう思っていた。
けれど、恋を知らない男は、人を好きになる順番も知らない。
本名も知らない。
年齢も知らない。
どこに住み、どんな人生を歩んできたのかも知らない。
それなのに玲は、彼女を「好き」だと自覚するより先に、ひとつの結論へ辿り着いてしまう。
――自分の人生に必要なのは、彼女しかいない。
恋に落ちたことにも気づかないまま、玲だけが、誰より先の未来を見ていた。
そして肝心の『さゆり』こと長谷川結花本人だけが、その想いを知らない。
一方の結花は、奨学金とアルバイトで大学へ通い、就職活動に悩みながらも前を向く、ごく普通の女子大生。
仕事で顔を合わせるたび、
優しく、頼りになり、ときに自分だけを特別に扱う玲へ、少しずつ惹かれていく。
好きなら、好きと言ってほしい。
特別なら、特別だと教えてほしい。
けれど玲は、その一番大切な言葉だけを知らない。
恋を知らない男と、普通の恋がしたい女。
同じ相手を想っているのに、
二人は何度もすれ違い、何度も遠回りする。
好きになること。
伝えること。
相手を信じること。
そして、誰かと人生を歩むこと。
これは恋を知らなかった男が、
たった一人の女性を愛することを知り、
やがて「この人だけは失えない」と願う男になるまでの物語。
※年の差/社会人×大学生/じれじれ/ハッピーエンド/執着愛
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