ヒューマンドラマ 短編

妻が私の“救命手術費”を若い後輩の飲食店に使った

熾星 2026/08/16 公開 2026/08/16 16:00 更新

あらすじ

 右目を負傷した事故の示談金が振り込まれた日、僕より喜んでいたのは美咲たちだった。

 美咲と義母の芳江さん、それに義妹の奈々は、テーブルいっぱいに不動産会社の資料を広げ、蓮が開くカフェレストランの物件を選んでいた。誰ひとり、僕の右目の具合については聞かなかった。

「駅西口の角にある店でいいんじゃない? あそこが一番目立つし」

 芳江さんはすぐに頷いた。

「少し高い分は、悠真のところから出せるでしょう? 蓮だって一人で店を始めるんだから、みんなで少しくらい助けてあげないと」

 僕はその場に立ったまま、しばらく何も言えなかった。

 その金は、事故で傷めた右目の治療と、仕事を休むあいだの生活のために残しておくはずだったものだ。

「それを店に使ったら、右目の治療が続けられなくなる」

 ようやく美咲が顔を上げた。けれど、その目に浮かんでいたのは心配ではなく、露骨な苛立ちだった。

「片目が見えにくくても、厨房の仕事まで全部できなくなるわけじゃないでしょ。蓮はこれから店に立って、お客さんの前に出るんだよ。悠真、こういう時くらい何が大事か考えてよ」

 もう言い返す気にはなれなかった。

 結婚して二年あまり。僕はその瞬間になって、ようやく分かった。

 美咲にとって僕の片目は、蓮が店を格好よく始めることよりも軽い。

 だったら、もうこの家に残る理由もなかった。

ポイント

総合ポイント 210
日間ポイント 10
日間ランクイン [未取得]
最高順位 [未取得]
評価ポイント 19693.3% ブクマ×2 146.7%

日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。

読者の反応

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8.17
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ブクマと評価ポイントの推移

10/25〜10/31(7日間)
ブクマ 7+0(7日間)
9 8 7 6 10/25 10/28 10/31
評価ポイント 196+20(7日間)
195 190 185 10/25 10/28 10/31

日別の値

新しい順・下の段は前日比
日付 ブクマ 評価P
10/31 7 ±0 196 +10
10/30 7 ±0 186 ±0
10/29 7 ±0 186 ±0
10/28 7 -1 186 ±0
10/27 8 ±0 186 ±0
10/26 8 ±0 186 ±0
10/25 8 +1 186 +10

「全期間」は直近30日分までを表示します(リアルタイム表示では、これに現在値が加わります)。

総合ランキングの推移

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