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セントラルなぎは 2026/10/12 公開 2026/10/12 15:34 更新
冒険者ギルドの受付嬢ミレイユ・アルブレヒト、24歳。
彼女の夢は、定時に帰って、温かい夕食を食べて、休日には昼まで寝ること。
世界を救うつもりもなければ、出世するつもりもない。ましてや王国の政治に関わるなんて、絶対に御免だった。
ところが、勤め先のグランベル冒険者ギルドは、どうにも帳尻が合わない。
討伐報酬から勝手に差し引かれる手数料。納品されたはずなのに消えている薬草。実在しない冒険者に支払われる給与。誰も受けていない依頼の完了報告書。
「……これ、誰が承認したんですか?」
「細かいことを気にするな。昔からこういう決まりなんだ」
「その決まり、規則集のどこにも載っていませんけど」
「いいから処理しろ」
「嫌です」
これは、剣も魔法も使えない受付嬢が、契約書と帳簿と証拠を武器に、冒険者ギルドの闇を暴いていく物語。
最初はたった一枚の精算書だった。
しかし調べれば調べるほど、不正は支部長の懐だけでは収まらなくなっていく。地方支部から王都へ、王都から王宮へ。やがて彼女は、王国そのものが維持してきた巨大な仕組みにたどり着く。
しかも、帳簿の数字を正せば正すほど、救われる人がいる一方で、生活を失う人もいる。
不正を正すことは、いつだって正義なのか。
そして、すべてを正した先に、本当に守るべきものは何なのか。
「私は世界を救いたいんじゃありません。帳簿を正したいだけです!」
──なお、その発言を王国の財政監査官に聞かれた結果、彼女は国家監査の責任者に任命されることになる。
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