純文学 連載中・全10話

占いババア・内海ヨシエ/蕎麦処 権堂編/The Old Fortune Teller of Uchisaiwaicho is Way Too Sharp-Tongued

八卦六十四郎 2026/10/31 公開 2026/10/31 13:37 更新

あらすじ


東京・内幸町。

毒舌で知られる占い師、内海ヨシエは、今日もタブレットで星の配置を確かめながら、相談者たちの運勢を占っている。

七十八歳。歯に衣着せぬ物言いで客を驚かせる一方、困っている人間を放っておけないお節介な一面もある。

仕事を終えたヨシエが向かうのは、神谷町にある馴染みの蕎麦屋「蕎麦処 権堂」。

店主の権藤忠雄は七十三歳。長年、妻と二人で店を切り盛りしてきたが、妻を二年前に亡くした。今も常連客に愛される店を守っているものの、蕎麦粉や鰹節、昆布、醤油などの仕入れ値は上がり続け、経営は楽ではない。

そんなある日、忠雄はヨシエに告げる。

「実はな……来年、店を閉めることにしたんだ」

三人の娘のうち、次女の夫である矢田衛は、洋食屋で働く料理人で、義父の店を継ぎたいと考えている。しかし、蕎麦屋を営むには、料理の経験だけでは足りない。

蕎麦打ちを覚え、茹で加減を身につけ、出汁を取り、店を切り盛りする。その修業には時間がかかる。衛が一人前になるまで、忠雄は現場に立ち続けなければならないのだ。

七十三歳の忠雄が、八十歳近くになるまで重労働に耐えられるのか。

店を譲った後も、後継者の仕事ぶりが心配になり、つい口を出してしまうのではないか。

長年の常連客からは「大将、やめないでくれよ」と惜しまれる。だが、客の願いだけで店を続けるわけにもいかない。

店を残したい気持ちと、家族に苦労を背負わせたくない気持ち。その間で揺れる忠雄。

ヨシエは、持ち前の毒舌と鋭い観察眼で、店主と家族の本音を探っていく。

果たして、蕎麦屋は誰かに継がせるべきなのか。それとも、忠雄が元気なうちに暖簾を下ろすべきなのか。

人の運勢を占ってきたヨシエが、今度は一軒の蕎麦屋と、そこに関わる家族の未来に向き合う。

これは、七十八歳の占いババアが、人生の算段をつける物語である。

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