純文学 完結・全3話

教育学部に進まなかった理由

守尾八十八 2023/11/10 公開 2026/08/05 17:31 更新

あらすじ

「なして大学で教職課程を取らんかったとね」--。

 三十九歳で失業し田舎に帰りぶらぶらしていたら、隣の県に嫁いだ母方の叔母から、まるで伝染病の予防接種を受けなかったかのように嘆息された。

 教職に就くつもりがなくてもなにかあったときの保険のために教員免状を取得した同級生は、少なくない。女子の場合、それが嫁入り道具にもなる。
 叔母は隣の県に立地する大学の教育学部を卒業し、地元に戻って小学校教員になり、大学で知り合ったという叔父と結婚するため寿退職した「華麗な経歴」を誇る。

 しかしおれは、教員にだけはなりたくなかった。児童・生徒や保護者、地域住民から「先生」と呼ばれる立場に身を置くのが嫌だった。それは、幼き日のこんな思い出が脳裏に刻まれているからだ。

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