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井芹蒼 2026/05/15 公開 2026/05/28 20:00 更新
リーゼは、本物の王女ではない。亡国の王女の影として育てられ、不要になれば切り捨てられるはずだった偽物の姫だった。
処刑台に立たされた朝、本物の王女は姿を消し、広場では無関係な人々まで命令に巻き込まれようとしていた。逃げれば自分だけは助かるかもしれない。けれどリーゼは、王女の名で嘘をつく。「私が王女です」と。
その嘘は、誰かをだますためではない。目の前の命を止め、消されかけた証を残し、命令書と封印と証人を守るための嘘だった。
王女の名を使った瞬間から、リーゼは人を守れる立場と、裁かれる立場を同時に背負う。信じる者は少なく、疑う者は多い。それでも、彼女が守った人と証だけが、少しずつ周囲の行動を変えていく。
血筋でも称賛でもなく、守った責任で「本物」に近づいていく。偽物の姫が、処刑台でついた嘘から人と証を守り始める王宮ファンタジー。
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