ローファンタジー 連載中・全30話

悪魔市~Demon's market~ 第一話『涙と膿』

原田一茶 2024/04/02 公開 2025/03/03 00:00 更新

あらすじ

 悪魔市・・・。

 デモンズ・マーケットなんて呼ぶ奴もいるが、要するに悪魔が運営する店、あるいはその集まりという意味だ。

 悪魔市の説明をする前に、まず悪魔の説明をしなけりゃならない。
 あいにくだけどこの物語には、ヤギの角とか、ワニの牙とか、ウマナミのイチモツとかを生やしているのは登場しない。

 そんな悪魔もどきのバケモンが、チンケな悪さして主人公に斬りつけられる話が読みたいんなら、他所にいくらでもあるから、そこへ行けばいい。

 はっきり言って、悪魔がどんな姿形をしているかなんていうことには興味がないし、意味もない。
 あの惧堂我磨ですら、まだ一度も悪魔に会ったことがないというんだから、そもそも目に見える存在なのかどうかも怪しいもんだ。
 見えないんなら存在しないんじゃないかと言えば、そうでもない。

 奴らは確実に存在する。

 存在して例の市場、悪魔市で商いをして稼いでいる。
 奴らが欲しがるのは金じゃない。魂と呼ばれるものだ。魂についても説明が必要だろうけど、それじゃあ一向に話が進まないから、今は割愛する。
 売り物は魔術と呼ばれるもので、俺に言わせりゃ気味の悪いものばかりだが、普通のスーパーじゃ売ってないものばかりだから、欲しがる奴も多い。

 もちろん、悪魔が捩じり鉢巻きして「へい、らっしゃい」とは出迎えない。
 応対するのは、僕となった憐れな人間たちだ。奴らは魂を握られているから、死ぬまで飼い殺しにされる。

 こういう言い方をすると、悪魔はとんでもない悪い奴みたいだけど(だいたい名前が悪魔だし)、実のところ、そうでもない。

 奴らは魂を欲しがるが、騙して奪ったりはしない。人間の要求に対する報酬を得るだけだ。騙したり悪用したりするのはいつも人間の方で、そのせいで悪く言われる悪魔は気の毒なもんだ。
 ま、奴らはそんなこと気にしないだろうけど。

 悪魔は人類の敵じゃない。神の対局に位置するものでもない。
 市場が社会の仕組みの一つなら、悪魔市もまた社会の仕組みの一つだ。
 そして悪魔は、もっと大いなる仕組みの一つだ。
 世界と人間と悪魔。これらは密接に関わり合っている。

 おっと申し遅れたが、俺の名前は十塚十郎。
 泥間市で小さな探偵事務所をやっている。
 もし、あんたが妙な事件に巻き込まれたら、俺のところへ来ればいい。

※毎週火曜日更新

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10/28 1 ±0 10 ±0
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