ヒューマンドラマ 短編

鳴かない文鳥

ちくわドーナツ 2022/10/07 公開 2022/10/07 07:29 更新

あらすじ

「チュン、チュン、チュン、チュン」
 鳥籠の中で鳴いている。
 黒と、灰色の羽。白色の身体。ピンク色の嘴。
 僕はその美しさに惚れて、2週間前、ペットショップで文鳥を買ってしまった。
 毎朝起きると、鳥籠の黒いカバーを外す。すると、チュン、チュン、と鳴きだす。
 一人暮らしで恋人もいない僕にとって、文鳥の存在は大きかった。守るべきものができた、という感じだろうか。
 可愛らしいものだ。鳥籠の中で、パタパタと羽ばたく姿を見ながら、僕はにやけてしまう。しばらく見て満足すると、朝ご飯を食べ、会社に行く支度をする。それが毎朝の習慣だ。

 就職して3年目。そろそろ恋人でも欲しいな、と思っていたが、残念ながら恋人ができる気配はなかった。色々と試してみたけど、付き合いたいと思える人には出会わず、僕は恋人探しを諦めた。その代わり、文鳥を飼った。
文鳥は良い。面倒を見るだけで、癒される。それで不足を感じないのであれば、わざわざ恋人を作る必要なんてない。
「ね?」
「チュン、チュン、チュン、チュン」


 ―――ああ、そう思っていたのに。どうしていつもこうなるんだろう。諦めた、と思うと、途端に一筋の光が差してくることがある。

 文鳥を飼うようになってから、餌を買うために定期的にペットショップに行くようになった。行くと言っても、2か月に1回程度だが、それでも、ペットショップにいる店員を覚えてしまい、その中の女性店員の一人と仲良くなってしまった。彼女は文鳥の飼育を担当していて、籠の中に何を入れたらいいか、とか、文鳥が元気ないときどうすればいいか、とかを教えてくれた。
 その女性はスズさんと呼ばれていた。僕と同じ26歳だった。背が低く、少し太っていて、申し訳ないけど外見でハッと惹かれるようなところはなかった。でも話してみると気さくな人で、明るい人だった。
 それで仲良くなって文鳥以外の話もするようになり、今度一緒にご飯でも、という話になった。そしていまや、毎日連絡を取り合うようになっている。これまで彼女ができたことなんてなかったから、本当に、毎日、にやにやが止まらない。携帯を見るたびに、彼女から連絡が来ていないかとメールを確かめてしまう。これも全て文鳥を飼ったおかげだ。恋のキューピッドだ。なんて素晴らしいんだろう。
「ほんと、お前には感謝しているよ」
「チュン、チュン、チュン、チュン」

ポイント

総合ポイント 20
日間ポイント 0
日間ランクイン [未取得]
最高順位 [未取得]
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日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。

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ブクマと評価ポイントの推移

10/31〜11/06(7日間)
ブクマ 0+0(7日間)
1 0 10/31 11/03 11/06
評価ポイント 20+0(7日間)
21 20 19 10/31 11/03 11/06

日別の値

新しい順・下の段は前日比
日付 ブクマ 評価P
11/06 0 ±0 20 ±0
11/05 0 ±0 20 ±0
11/04 0 ±0 20 ±0
11/03 0 ±0 20 ±0
11/02 0 ±0 20 ±0
11/01 0 ±0 20 ±0
10/31 0 ±0 20 ±0

「全期間」は直近30日分までを表示します(リアルタイム表示では、これに現在値が加わります)。

総合ランキングの推移

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