ローファンタジー 短編

英雄のいない国

末期戦が好き 2018/09/27 公開 2018/10/18 23:30 更新

あらすじ

とある世界での物語――
これは、よくある転生者が異世界で活躍する物語――
しかし、ただひとつ違うのは――

そこは、どこか見たことのあるような異世界。
中世の西欧風の石畳、石造りの街並みが広がりながら、近代文明へ片足をかけたのか町中では動く無機物を見かける。遠くの街並みからは煙突が延びるのが見え、工業的黒煙が白い雲海へ墨汁をそそぐ様にして混ざってゆく。

それでありながら、町の外には多くは無い魔獣が生息し、深い森や原野が存在しつつ共存し合っている。
人類は未開の領域への野心を持ちながらも、どういう訳か言葉を交わせる筈の人間同士での争いは尽きず、その人類領域のパイを広げるより奪い合う事の方が多い。

そして、貧しかったとある公国は、些細なきっかけで飛躍的に国力を延ばし、弱小国として虐げられてきた積年の恨みを晴らすかの如く周辺国家を侵略し、帝国としての繁栄の道を切り開いた。

そこへ、国境を接した魔法大国として伝統と平和を守り続けた王国は危機を感じ、神に祈りを捧げて戦争を決意した。
神はこの祈りに応える形で、異世界の知識を有する一人の男を冒険者として超常の力を持たせて送り込む。世界の和を乱す悪の帝国を滅ぼせ、と。

異世界人は幼くして英知を披露、多くの人々の支持を集めて兄弟を退け家督を相続。貴族でありながら民主的で慈悲深い施策を行い、反発する政敵を滅ぼしながら王国内での発言力を日ごとに増していく。しかし、しがらみを疎ましく思ってか信頼できる親族に家督を譲り渡して隠遁生活を目指す。
個人では冒険者としても一流の実力を身に付け、数々の問題を解決しては人々に感謝され、もはや目的の隠遁生活はどこへやら。王国内では広く存在が知れ渡るようになった頃。ついに王の依頼で帝国との戦争への力添えをする事となった。
そして、あらゆる武術に加え、膨大な魔力と使える魔術の数、前世の記憶を屈指して軍事強国となった帝国へ挑み、勝利を重ねていく……

と、此処までは世にありふれた異世界超能力者の英雄譚。

ただ、この物語でただひとつ違うのは――
――これは、敗北者たちの命の軌跡で紡がれる物語――
――つまり、帝国の人々を中心とした物語だ、ということである。

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