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アコンプリスの人 2025/11/08 公開 2025/11/09 14:29 更新
世界から、名前が消えはじめた。
紙に書いた名前は指でなぞれば消え、看板も、名簿も、墓石も、誰かを証明する文字から白く抜け落ちていく。
廃図書館で暮らす十人の子どもたちは、毎朝、黒板に互いの名前を書き、夜には声が枯れるまで呼び合っていた。
呼ばれなければ、存在できない。
忘れられれば、翌朝にはいなくなる。
ある朝、明るい少年ハルの名前だけが黒板に書けなくなる。
そして、彼が消えた後、残された子どもたちは知る。
名前は、ただ呼ばれるためだけのものではない。
誰かを守るために、分け与えることもできるのだと。
名前を分けた少女。
消えた者たちの名を腕に刻む少年。
そして、全員の名を記録し続けてきた少女・葵。
白く消えていく世界で、彼らは互いの名を呼ぶ。
それだけが、生きていた証だった。
――
登場人物紹介
葵:廃図書館で暮らす子どもたちの名前を毎朝黒板に書く少女。
ユウ:年長の少年で、子どもたちをまとめるリーダー格。
ミオ:冷静で観察力のある少女。葵を支える親友的存在。
ハル:明るく冗談好きな少年。最初に名前が消えはじめる。
サエ:体が弱いが、誰よりも優しい少女。コトを守ろうとする。
ソラ:外の世界へ強い憧れを持つ少年。白い町の向こうを見たがる。
トオル:疑い深く口は悪いが、仲間を失うことを誰より恐れている少年。
レイ:記憶力のよい少女。消えていく名前を必死に覚えようとする。
ナオ:無口な少年。消えた者たちの名前を腕に刻んでいる。
コト:最年少の子ども。サエから名前の一部を受け取る。
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