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伊佐波瑞樹 2026/10/22 公開 2026/10/30 18:56 更新
誰にだって、思い出したくない黒歴史の一つや二つはある。
俺の場合は――中学生の頃に作った、最強設定てんこ盛りの『黒歴史ノート』だった。
闇を統べる究極魔法。
世界の法則すら書き換える禁断の術。
伝説の魔剣に、最強の魔物。
そして、それらすべてを使いこなす選ばれし存在――。
当時の俺が「これカッコいい!」と思ったものを、限界まで詰め込んだ一冊。
大人になった今では、読み返すどころか存在を思い出すだけでも恥ずかしい。
そんな俺が、ある日突然――異世界へ。
そこで目にしたのは、魔法が存在する本物のファンタジー世界だった。
そして俺の手元には、なぜかあの黒歴史ノートがある。
嫌な予感しかしない。
恐る恐るページを開き、昔の自分が考えた魔法を試してみると――。
「……え?」
山が吹き飛んだ。
そこで俺は気づいてしまう。
この世界では、黒歴史ノートに書いた設定が本当に使える。
しかも、中学生だった俺は加減というものを知らなかった。
魔力はほぼ無限。
防御は絶対。
状態異常は無効。
古代魔法も禁術も使用可能。
困ったら新能力が覚醒する。
――おい、昔の俺。
いくらなんでも能力を盛りすぎだろ!!
本人にとっては恥ずかしくて仕方がない黒歴史。
しかし異世界の人々から見れば、それは常識を覆す奇跡の魔導書だった。
俺は目立たず、この世界で普通に暮らしたい。
なのに黒歴史ノートを使うたび、とんでもない事件を解決してしまい、周囲から向けられる視線はどんどん変わっていく。
さらに、ノートに書いたはずの設定と酷似した存在まで現れ始めて――?
これは、厨二病時代の妄想をすべて現実にされてしまった男が、自分自身の黒歴史に悶絶しながら異世界を生きていく物語。
最強なのは嬉しい。
異世界も楽しい。
でも頼むから――その技の正式名称だけは叫ばせないでくれ!!
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