ヒューマンドラマ 短編

八年間育てた「息子」は、夫と初恋の女の子どもだった

熾星 2026/08/07 公開 2026/08/07 16:00 更新

あらすじ

 結婚八周年の日、誠司は、私が何年も欲しいと言い続けていたホームプロジェクターを持ち帰ってきた。子供部屋から駆け出してきた悠斗は、私の腰に抱きつき、いつになく素直な笑顔を向けた。私たち三人が暮らしているのは、駅裏の古い木造アパートだ。広くもなく、冬になると窓枠の隙間から冷気が入り込んだが、それでも私は、いつか暮らしは楽になると信じていた。

「ママ、うちはまだお金に余裕がないけど、パパって本当にママのことが好きなんだね。ずっと欲しいって言ってたの、ちゃんと覚えてたんだ」

 私は悠斗の頭を撫で、台所へ戻って用意していた料理を食卓へ運んだ。結婚記念日のために、普段は手を出せない和牛を買い、誠司の好物である牛すじの味噌煮込みも作った。食事の前にスマートフォンをプロジェクターへ接続すると、壁に映ったのは動画アプリではなく、機器に残されていた古いタブレットの画面だった。ログアウトされていないLINEのトーク画面が、白い壁いっぱいに広がった。

「誠司、汐見タワーレジデンスで待ってる。あの古いプロジェクターは、あの人にでもあげて。もう飽きたから」

「気づくわけないよ。役所の手続きは半年前に終わってるのに、まだ自分が俺の妻だと思ってる。八年も一緒にいたのは、絵里奈が帰ってくるまでのつなぎにすぎない」

 送り主は、神谷絵里奈。誠司が「とっくに縁を切った」と言っていた初恋の相手だった。

 新しいメッセージが続けて表示された。

「まずい。古いタブレット、LINEからログアウトしてなかったかも」

「大丈夫。今ごろ、あいつは喜んで記念日の夕飯を作ってる。悠斗にログアウトさせるよ」

 悠斗?

ポイント

総合ポイント 354
日間ポイント 0
日間ランクイン [未取得]
最高順位 [未取得]
評価ポイント 33093.2% ブクマ×2 246.8%

日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。

読者の反応

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ブクマと評価ポイントの推移

10/24〜10/30(7日間)
ブクマ 12+1(7日間)
13 12 11 10 10/24 10/27 10/30
評価ポイント 330+10(7日間)
330 325 320 10/24 10/27 10/30

日別の値

新しい順・下の段は前日比
日付 ブクマ 評価P
10/30 12 ±0 330 ±0
10/29 12 ±0 330 ±0
10/28 12 ±0 330 +10
10/27 12 ±0 320 ±0
10/26 12 ±0 320 ±0
10/25 12 +1 320 ±0
10/24 11 ±0 320 ±0

「全期間」は直近30日分までを表示します(リアルタイム表示では、これに現在値が加わります)。

総合ランキングの推移

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