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坂下要(閃光のクマ) 2026/04/07 公開 2026/04/10 20:30 更新
九ヶ月ぶりに帰郷した木立和彦(こだち かずひこ)は、親友夫妻の家に生まれたばかりの命、初美と出会う。その小さくも確かな存在に突き動かされ、彼は骨髄バンクへのドナー登録を決意した。それが、三島恭子との出会いの始まりだった。
和彦の心には、十数年前からずっと空けてある「席」がある。
それは、れんげ畑の中で出会い、そして永遠に失われた人――陽子さんのための場所。
「死者を思うだけで人生を埋めることはできない」と知りながらも、彼は今この瞬間も、彼女からの電話を待ち続けていた。
そんな和彦の前に現れたのは、不器用でひたむきな、そして「陽子さんになに一つとして似ていない」恭子だった。
彼女と過ごす時間は、過去への罪悪感に縛られていた和彦の心を、静かに、そして豊かに変えていく。
仕事での遠距離、ドナー適合を巡る葛藤、そして親友夫婦と分かち合う歪ながらも温かい絆。
大切な人の居場所を心に守り続けながら、目の前の人を愛し、共に歩んでいくことはできるのか。
これは、過去との折り合いをつけ、生者としての一歩を歩み出すまでの、静かで深い愛と再生の物語。
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