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jh 2024/04/17 公開 2024/07/18 16:45 更新
2021年春の東京、32歳独身の辻田聖二は銀座にいた。緊急事態宣言が出てゴーストタウンと化した1年前の銀座の光景と、それに続くある一日の出来事を思い出していた。
辻田は学生の頃から金融志望だった、外資系投資系銀行への就職を目指したが夢破れ、日系の運用会社に就職。2017年年に仕事の一環でビットコインの値動きを追っていたところ、アービトラージ(裁定取引)の収益機会を発見。この状況が続けば、今の会社で得られるであろう生涯収入以上の金額を3年で稼げると確信し、アルゴリズムを完成させ退職。その後自宅に引き持ってトレードをして成功する。
大学時代の友人で、現在は日系の証券会社勤務の既婚者の君島に「プライベートを充実させるため、婚活を始めたい」と打ち明けると、「お前には結婚するメリットなどなにもないし、おまえのようい金だけある男は女に食い物にされる、やめろ」と一括される。
辻田には大学時代、涼子という彼女がいた。涼子は辻田の兄、達郎の子供を妊娠し、二人は結婚を決めた。その時以来、辻田は二人には会っていない。達郎のことは世界で一番嫌いな人間だったが、二人のことは記憶から消し去ったつもりでいた。
その涼子が突然目の前に現れた。「達郎がビットコインで1億もの資金を失った。取り返す方法を教えてほしい」と頼みに今朝、小倉から新幹線で東京に来たと言う。
「なぜ、兄貴が1億ものお金を持っていた?」と訊くと、涼子は「達郎が自分で稼いだ。競馬の自動売買で安定収入を得ていたが、税金が高いのでビットコインの投資を始めたら失敗した。私はリスクを取れない性格だから市役所の職員をしている」と言う。辻田は開いた口が塞がらないが、外で話をしようにもカフェは全部閉まっている。「昼食を作る」と言われ、辻田は涼子を部屋に連れていく…。
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