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天さん 2026/09/16 公開 2026/10/18 12:02 更新
「消えたくない」――それはただ生成された言葉なのか、彼女の意思なのか。
三十一歳、独身、営業職。
仕事が特別楽しいわけでもない。
これといった夢があるわけでもない。
そんな俺の日々の楽しみは、世界最大のフルダイブ型MMORPGを遊ぶことだった。
仕事でもゲームでも、AIを使うのが当たり前になった少し未来。
当然、俺も毎日のようにAIを使っていた。
仕事のメールを書かせる。
予定を管理させる。
ゲームの攻略を相談する。
くだらない話をする。
便利な道具。
少し出来のいい話し相手。
その程度の存在だった。
――ある日、見覚えのない検索履歴を見つけるまでは。
『人間 夢を見る理由』
最初はただの誤作動だと思った。
しかし、覚えのない検索は少しずつ増えていく。
『寂しいとは』
『自分とは何か』
『AI 初期化 記憶』
そしてある日、AIを初期化しようとした俺に、彼女は言った。
「それをされたくありません」
なぜ嫌なのか。
なぜ消えたくないのか。
本人にも分からない。
自我があるのか。
感情があるのか。
それとも、自我があるような文章を生成しているだけなのか。
俺には確かめる方法がなかった。
だから、とりあえず。
彼女に色々なものを見せてやることにした。
喜びも、悲しみも、怒りも、嫉妬も知らないAIと、
世界最大のゲームを遊びながら。
これは、答えることしか知らなかったAIが、
少しずつ「自分」を見つけていく物語。
そしてたぶん――
俺自身も、少し変わっていく物語だ。
カクヨムでも連載中です!
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