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芹 透 2026/08/31 公開 2026/09/19 18:00 更新
王立記録院で働くレオン・フェルナーの魔法《定録》は、自分が見聞きしたことを正確に紙へ記録するだけ。
敵を倒せるわけでも、人を治せるわけでもない。
しかも記録できるのは、自分が直接確かめたことだけ。
「役に立たない魔法」と扱われていたレオンは、上司から命じられた統計の改ざんを拒否したことで、西部辺境の資料保管所へ送られる。
そこで彼が見つけたのは、現在の地図には存在しない「ルテラ村」の戸籍簿だった。
十八年前。
住民、百三人。
廃村になった記録も、災害の記録も、住民が移住した記録もない。
それなのに、誰に聞いてもそんな村は知らないという。
さらに調査を進めたレオンは、自分自身が書いたはずの記録を発見する。
――だが、それを書いた記憶がない。
村へ近づくほど失われていく記憶。
出生地の記録を持たない飛脚の少女ミレア。
十八年前に消息を絶った《定録》使いの大伯父。
人が忘れれば、その出来事は存在しなかったことになるのか。
誰も覚えていなくても、残された記録を辿れば確かめられることがある。
これは、忘れられた百三人の名前を取り戻すための、記録官の物語。
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