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hobott 2021/01/10 公開 2021/03/21 19:37 更新
※とりあえず版ではあるが、本作の立場だけは明確にしておく。
本作は、基本的にノンフィクションである。
筆者自身が発想・見聞し、関与した出来事をもとに書かれている。
本作の中心にあるのは、あの有名な HondaJet の象徴とも言える構成――
翼の上にジェットエンジンを載せる という配置である。
この配置が、航空工学の世界では長らく「検討するまでもない失敗案」、
すなわち 業界のタブー として扱われてきたことは、専門家であれば周知の事実だ。
空力干渉、騒音、構造重量、整備性。
教科書を開けば、エンジン配置の「合理的解」は
翼下、もしくは胴体後部にあると、ほぼ例外なく記されている。
だからこそ、東京大学工学部航空学科のような正統的エリート教育を受けた人間が、
この発想に至ることは、構造的にありえない。
それは能力の問題ではない。
むしろ逆である。
正しい教育を、正しく修了した結果として、
疑う必要のない前提を疑わないよう訓練されているからだ。
にもかかわらず、
「HondaJet 開発責任者であり設計者である藤野道格が、
1997年のある夜、就寝前にこのコンセプトを思いつき、
近くにあったカレンダーの裏に最初のスケッチを描いた」
という逸話が、あたかも“ひらめきの神話”として語られている。
翼上エンジンという発想は、
航空工学のエリートが「思いつかなかった」のではない。
思いついてはいけないものとして、最初から思考の選択肢から排除されていた。
では、このタブーを破る発想は、どこから来たのか。
そしてなぜ、その発想を正しく評価し、実現に向けて動くことができなかったのか。
本作は、
発想を生み出した人物が誰であったのか、
そしてその発想よりも「肩書き」や「学歴」や「空気」を優先した人々が、結果として何を断ち切ったのかを、
HO の視点から記録していく物語である。
T取締との会話中、HO はこう思った。
「本田宗一郎さんが生きているうちに、量産一号機を出荷する。
HOには、それができる」
技術よりも組織が優先されたとき、
何が失われるのか、それを、実際に現場で見た者の記録である。
なお、本作は HO の視点による記録であり、
すべての関係者にとっての「唯一の真実」であるとは主張しない。
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