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寿 明結未(ことぶき・あゆみ) 2026/03/07 公開 2026/04/04 20:20 更新
毒霧に覆われた辺境の街・エルメンテス。
百年のあいだ街を蝕み続けるこの霧は、人々の体と心をむしばみ、街全体に暗い影を落としていた。
そんな街に、一人の調香師がやってくる。名はアメリア・ダグリスト。
名家に生まれ、公爵夫人に重用された実力を持ちながらも、ある日突然、父の手によって「追放」されるようにこの街に送り出された令嬢だった。
香りで人を癒やす術を持つ彼女は、初日から毅然と毒霧と街に向き合う。
壊された香炉、心を閉ざした人々、前任調香師への不信感――。
それでもアメリアはひとつずつ向き合い、香りで子供の不安を鎮め、老婦人の心に寄り添い、頑固な香炉職人の心さえも動かしてゆく。
「香りは、装飾でも武器でもない。私にとっては、人を守る“盾”――」
調香師としての誇りと信念、そして街を救いたいというまっすぐな思い。
少しずつ、街に香りが広がるように、変化の兆しが人々の心にも芽生えていく。
彼女を見守る若き領主エドワードもまた、アメリアの力強さと優しさに心動かされていくが――毒霧の正体には、まだ誰も触れていない。
これは、香りの魔法で人と街の過去に向き合い、癒し、変えていく、ひとりの調香師の物語。
やがて香りが奇跡を起こすと、誰が信じただろうか――。
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