ポイント
日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。
読者の反応
- ブクマ
- 1
- 感想
- 0
- レビュー
- 0
- 評価者数
- 0
- 平均評価
- [未取得]
- 週間読者
- 0
ブクマと評価ポイントの推移
日別の値
「全期間」は直近30日分までを表示します(リアルタイム表示では、これに現在値が加わります)。
総合ランキングの推移
順位を読み込んでいます…
beck2026 2026/06/14 公開 2026/10/15 06:40 更新
夕暮れ時のギルドは、いつもと変わらない喧騒に包まれていた。
酒杯を掲げる者、傷を労い合う者、明日の依頼を品定めする者。
その誰もが、時折、壁際に立てかけられた「それ」に視線を向ける。
身の丈を超えるほどに巨大な、鉄の塊。
幾多の戦場を駆け抜け、無数の魔物の血を吸ってきた、鈍い銀色の大剣。
かつてその大剣を軽々と振るい、誰よりも豪快に笑っていた男の姿は、もうそこにはない。
「……本当に、行っちまったんだな」
ひとりの若い冒険者が、ぽつりと呟いた。
「最前線の盾と矛になってやる」
そう言って笑い、常に誰かの前に立ち続けた男。
彼が最後に残した大きな背中は、ギルドの誰もが忘れられない、英雄の姿そのものだった。
男は言っていた。
圧倒的な力があれば、大抵の窮地は叩き潰せる、と。
だが、彼が本当に遺したのは、その力だけではない。
彼に命を救われ、その背中を追い続けた、多くの者たちの「心」だった。
バタン、とギルドの重い扉が開く。
入ってきたのは、かつてはひょろっとしていて、戦場で生きていけるか心配されていた若者だ。
いまや、その目には確かな覚悟の光が宿り、体つきも一回り逞しくなっている。
若者は、まっすぐに壁際の大剣へと歩み寄った。
その柄に、そっと手をかける。
並の人間では、持ち上げることすら不可能な重量。
じわりと、手のひらに鉄の冷たさと、これまでの歴史の重みが伝わってくる。
「……次は、俺が誰かの盾になる番だ」
若者は深く息を吸い、全身の筋力を込めて、その大剣を引き抜いた。
ずしりと響く重圧を受け止め、しっかりと足を踏みしめる。
ギルドの喧騒が、一瞬だけ静まり返った。
誰もが、新しい「大剣の冒険者」の誕生を、言葉もなく見守っている。
若者は大剣を背中に背負うと、受付の奥で微笑むスタッフに、小さく頷いて見せた。
そして、夕日が差し込む扉の向こうへと、力強く歩き出す。
かつての男がそうしたように、豪快で、どこまでもまっすぐな足跡を、新しく刻み込むために。
日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。
「全期間」は直近30日分までを表示します(リアルタイム表示では、これに現在値が加わります)。
順位を読み込んでいます…