歴史 連載中・全3話

仁義なき戦争――上海死闘編

崗奇 2020/02/11 公開 2020/02/13 19:30 更新

あらすじ

 日華事変中、国際都市・上海を舞台として日本と中国の間で繰り広げられた特務工作戦を、日中双方の史料をもとにして概ね史実に沿って描きます。

 まず舞台となる「魔都」上海ですが、日本軍が占領したのは中国が管轄している地域に限られます。というのも、市街中心地は、英国はじめ列強が支配している「共同租界」と、フランスが支配する「仏租界」であり、当時日本軍は占領することができませんでした。

 上海租界は世界各国の利権が複雑に入り組む東亜経済の中心地であり、多くの中国政客もここに住んではいますが、情勢が複雑なだけに抜け穴も多く、実際の治安は幇会と呼ばれるヤクザが担い、各国のスパイ組織が深く根を張る、謀略と犯罪の総合商社でもありました。まさに魔都ですね。

 戦争というものは最終的に政略によって決着をつけなければなりませんが、接触するのに便利な地がこの上海なら、それを阻止しようとするスパイ組織が最も活動しやすい場所も、この魔都でした。隣とは言え、外国人が下手に触ると火傷しそうですね(まあしたわけですが)、怖いですね。

 この上海を舞台に、日本陸軍参謀本部の特務機関、上海憲兵隊、日本の傀儡・汪兆銘政権の特務機関「76号」、蒋介石政権の特務機関「軍統」「中統」や、幇会が入り乱れて活躍します。

 当時の蒋介石政権の特務機関はプーチンもドン引きさせるレベルのやんちゃぶりで、日本側も元蒋介石側特務機関から人材を得て対抗し、この双方による暗殺、爆弾テロ、新聞社襲撃、美人局、拉致監禁、人質殺害……なんでもありの「特工戦」が、大都会上海を縦横無尽に荒らし回りながら繰り広げられます。

「スパイもの」ではありますが、なにせ「なんでもあり」な世界なため、殴り込みをかけたりもするので、全体的な雰囲気としては「007」や「陸軍中野学校」というよりも、「仁義なき戦い」に近いです。ひっそり忍んでクールに消す、というよりも、「おどれら、戴笠(蒋介石政権特務機関「軍統」の責任者)ゆうたらちびりやがって。あいつらの風下に立ってよ、せんずりかいて仁義で首くくっとれ言うんか、おう?中国に政府は二つも要りやせんのじゃ」という感覚ですね。

 経済戦争も言論戦も、「論理」ではなく「物理」で戦う、「仁義なき戦争」がテーマとなっております。

https://youtu.be/mLd9YrZgziA
(イメージビデオ)

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