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真野真名 2026/03/30 公開 2026/05/07 12:00 更新
――【旅する不死者は昼も歩く】の堤門統(つつみかど すばる)が主人公のスピンオフ作品です――
高階市・矢吹町。かつて風俗街として栄え、今は大型商業施設を核に活気を取り戻しつつある歓楽街の片隅に、雑居ビル四階の『堤門探偵事務所』はある。
所長の堤門 統(つつみかど すばる)は、七千年以上を生きる「古き者」だ。真祖の吸血鬼と恐れられた時代もあるが、本人にとってその呼び名は不愉快でしかない。現在の関心事は、ミルクたっぷりのコーヒーと上方落語と、次元収納に仕舞い込んだ極上の和菓子をいつ食べるかだ。基本的に働きたくない。
そんな彼の事務所に、今日も厄介事が転がり込んでくる。
お節介が過ぎる押し掛けアルバイトの女子大生、探偵業をハードボイルドと勘違いしたホスト、三百七十円を握りしめた富裕層の小学生。そして気づけば、異世界から迷い込んだネコミミの少女まで居候している。
ストーカー調査、父親捜索、呪具の回収、旧家の怪異。持ち込まれる依頼はどれも面倒で非効率だ。だが七千年の孤独に慣れ切った探偵は、今日も渋々腰を上げる。
静かな深夜に、ミルクたっぷりのコーヒーを飲みながら落語を聴く。それだけが、この途方もない人生のささやかな至福なのだから。
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