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ちょこまろ 2026/10/23 公開 2026/10/27 07:00 更新
「戻ってきたら、また海に行こう」
十年前の夏。
私は、その言葉を信じて、好きだった人を笑顔で見送った。
本当は「行かないで」と言いたかった。
でも、私たちは恋人ではなかった。
そして彼は、戻ってこなかった。
森崎里帆、三十四歳。
湘南・茅ヶ崎の海沿いにあるカフェで働く、ごく普通の独身女性。
仕事は好きだし、毎日それなりに楽しく暮らしている。
ただ、夏の終わりだけは、どうしても苦手だった。
そんな八月の夕暮れ。
茅ヶ崎駅で、十年間忘れられなかった人に名前を呼ばれた。
「里帆?」
青柳恭介。
十年前、福岡へ旅立った、友達以上恋人未満だった人。
昔と変わらない笑顔。
懐かしい声。
そして、何もなかったかのように私の名前を呼ぶ、その優しさ。
ずるい。
今さら戻ってきて、どうしろというの。
けれど、彼もまた、十年前に言えなかった想いを抱えていた。
「俺は、十年前の里帆だけを見てるわけじゃない」
再び歩くサザン通り。
海沿いの小さなカフェ。
ギターケースに残されていた、渡されなかった言葉。
少しずつ明らかになる、あの夏の本当の気持ち。
十年という時間は、もう取り戻せない。
それでも、今から始めることはできるのだろうか。
これは、若い頃に恋人になれなかった二人が、三十四歳になった今、もう一度恋を始める物語。
湘南・茅ヶ崎を舞台に描く、切なくて温かい、大人の純愛ストーリー。
【全5エピソード・完結/ハッピーエンド】
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