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黒之宮 瑠依 2026/10/20 公開 2026/10/20 10:33 更新
時は平安末期。
平治の乱の余燼がくすぶる京では、平清盛率いる平家が勢いを増し、藤原の権勢に翳りが差していた。
米三袋。それが、あやの値段だった。
借金のかたに売られた田舎娘のあやは、姫君・藤原詩織に仕えることになる。
水を一滴こぼしただけで、罰が下る屋敷。生き延びるには、何も言わず、何も望まず、影になればいい。
そう決めたはずだった。
詩織は美しく、冷たく、完璧だった。けれど、その絹の衣の下には、家のために生きることを強いられた、一人の娘がいた。
誰もが美しい言葉で姫君を讃える中、あやの飾らないひと言が、その仮面に初めてひびを入れる。
言葉を交わし、小さな贈り物を重ねるうちに、主と侍女の間には、誰にも明かせない想いが芽生えてゆく。
だが、藤原家が家運を託したのは、平家との縁組。
詩織の嫁ぎ先として名が挙がったのは、清盛の嫡男・平重盛だった。
米三袋で売られた娘と、一門の未来のために嫁がされる姫君。
武家の権勢と公家の思惑が二人を引き裂こうとするとき、あやは、ただ黙って見送ることができるのか。
これは、歴史の余白で始まる、侍女と姫君の恋の物語。
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