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伹見宏 2026/10/11 公開 2026/10/11 19:21 更新
本作品は、戦国武将尼子義久が率いる鉢屋衆の忍者の創作の物語です。深い晩秋の装いを見せる月山、富田の山並みに抱かれた城郭は、燃え立つような朱や鮮やかな黄金に染まる木々の中で、柔らかな秋陽を浴びて穏やかな静けさに包まれていた。鉢屋ヶ成の館傍の道場では、若き忍び達が集い、鉢屋衆の稽古が行われていた。若頭の安長の掛け声に合わせ、十数人が並んで同時に正拳突きを繰り出した。無駄を削ぎ落とした、一閃の突き。拳に集約された全神経が、空気を裂く鋭い風鳴りとなって放たれた。月山に稽古の掛け声が響き渡る。夕暮れとなった城下を往来する人影は少なく、民家の屋根から、 仄(ほの)かに薪を炊く煙が、空へとか細く立ち上っていく。富田は、まだ平和が保たれていた。 木枯らし吹き、時折、時雨(しぐれ) が降る。移り気な冷たい雨が降り頻(しき)る中、一人の男が揖屋の大内権現にやって来る。死来也という世鬼一族の忍びである。大内晴持が祀られる大内権現で、死来也は古書を開き、大内晴持の霊魂を復活降霊させる。そして、大内晴持の霊を連れて揖屋灘から舟に乗り、月山富田城のある富田へと死来也は向うのであった。
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