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希羽 2026/05/11 公開 2026/05/12 12:13 更新
「お前を、ディアス公爵の元へ嫁がせる。どうせすぐ死ぬのだから、家の役に立ってから死ね」
没落寸前の伯爵家で、家族から虐げられてきた次女のレティシアは、実の父と姉からそう告げられた。
相手は、触れたものを腐らせる呪いを受けた黒死公——ヴァルター・ディアス公爵。
嫁いだ令嬢たちが次々と行方不明になるという噂の絶えない、孤独で冷酷な魔法使いだ。
「まあ、なんとかなりますよね!」
持ち前の天然な明るさと「どうせ死ぬなら楽しく生きよう」という諦観を持つレティシアは、死地へ向かう馬車の中で青空を見上げて笑っていた。
ところが、結婚初日の夜。彼女が無意識に公爵の呪われた腕に触れた瞬間、数年間彼を苦しめてきた激痛が嘘のように消え去ってしまう。
実はレティシアには、本人の自覚なしに呪いを溶かす『浄化の光』——伝説の聖女の力が宿っていたのだ。
それ以来、無口で無表情だったはずの公爵は、なぜか常にレティシアの隣を陣取るようになる。
最高級の魔法具を贈り、彼女を甘やかし、他の男が近づけば静かに(社会的に)抹殺する。
その独占欲と重すぎる愛情にレティシアが首を傾げている頃、彼女を捨てた実家は「聖女を捨てた家」として破滅への道を突き進んでいた。
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