異世界恋愛 完結・全10話

もう、人間界には戻りません

九葉(くずは) 2026/05/03 公開 2026/05/03 14:21 更新

あらすじ

夜会の隅で、私は涙を流さなかった。
婚約破棄を告げる声は、王太子の口からではなく、宰相補佐の手元の通達書から、事務的に読み上げられた。
中央で泣くのはお義妹様で、王太子はその涙を拭うのに忙しい。

私は中央に進んで、指輪を、お義妹様の掌に、そっと、置いた。

「お幸せに」とだけ告げて、踵を返した。
その時、夜会の天井が、銀の月光と共に、砕けた。
降り立ったのは、銀色の髪の青年だった。
人ではない、と、見ればすぐに分かった。
「ようやく、迎えに来られた」

低い声には、私が知らないはずの長い時間が、乗っていた。
公爵令嬢ヴィオラ。
七歳で母を亡くし、義妹に手柄を奪われ続けた、十九歳。

胸元のロケットには、母様の形見の、深い青の宝石。
その宝石と、彼の瞳は、同じ色をしていた。
なぜ、彼は、私の好物を知っているのか。
なぜ、宮殿の中庭には、私が七歳の春に一度だけ呟いた、青いリンドウだけが咲いているのか。

私の意識が遠のく前、女性の声が、囁いた。
それは、知っている声だった。
「お母さまは、あなたを千年待った人のもとへ、送りたかったの」

千年。

その言葉だけが、最後まで、私の中に残った。

ポイント

総合ポイント 3,034
日間ポイント 0
日間ランクイン 6
最高順位 82
評価ポイント 2,70889.3% ブクマ×2 32610.7%

日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。

読者の反応

ブクマ
163
感想
9
レビュー
0
評価者数
328
平均評価
8.26
週間読者
0

ブクマと評価ポイントの推移

10/31〜11/06(7日間)
ブクマ 163+1(7日間)
164 163 162 161 10/31 11/03 11/06
評価ポイント 2,708+8(7日間)
2,705 2,700 10/31 11/03 11/06

日別の値

新しい順・下の段は前日比
日付 ブクマ 評価P
11/06 163 ±0 2,708 ±0
11/05 163 +1 2,708 ±0
11/04 162 ±0 2,708 ±0
11/03 162 ±0 2,708 +8
11/02 162 ±0 2,700 ±0
11/01 162 ±0 2,700 ±0
10/31 162 ±0 2,700 ±0

「全期間」は直近30日分までを表示します(リアルタイム表示では、これに現在値が加わります)。

総合ランキングの推移

順位を読み込んでいます…