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megu 2026/07/10 公開 2026/08/18 20:00 更新
大久保利通が暗殺された翌朝、東京の魚はいつもより安かった。
西南戦争帰りの相良鉄之助は、亡き戦友の妹・小夜の薬代を作るため、額面百円の公債を兜町へ持ち込む。薬はあと三日分。だが、証書を見た仲買人の顔が変わった。
「現物が、家にあったのか」
帳面では、すでに買付済み。借主は去年戦死した小宮佐一、借用日は今年の二月。受け取った男も、鉄之助が葬った戦友だった。
なぜ死者二人が、生きている妹の財産を動かせるのか。
手掛かりの魚荷札には、魚河岸の娘・りんの父の名がある。失踪した父を捜すりん、偽の日付に自分の筆跡を見つけた志乃。大切な人を信じたい三人は、やがて守りたかった相手の嘘にぶつかる。
その冬、死んだはずの小宮は妹の家へ帰っていた。塩辛い漬物に文句を言い、一通の手紙を残して。
東京株式取引所が生まれた明治十一年。三十円の借金から戦友の最期を追う、全四十話の歴史ミステリー。
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