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多那アロン 2026/09/24 公開 2026/10/25 20:10 更新
世界は、かつて1万時間遊び尽くした死にゲー〈終蝕のレガリア〉そのものだった。
しかも俺が手にしたのは、100兆ものポイント。
ステータスを上げれば、たぶん簡単に最強になれる。
だから上げない。
初期ステータス。初期装備。
ボスの攻撃を一発でも食らえば死ぬ。
その代わり、攻撃パターンも、隠し通路も、イベント条件も、ボスを倒すための攻略法も、俺は知っている。
せっかく本物の死にゲー世界に来たのだ。
最強になるより、最高難度で攻略したい。
問題は一つ。
俺はこの物語の主人公ではない。
世界を救う〈継承者〉ソウゴ。
彼を導く聖女ユーフェリア。
レガリアを集め、正しいイベントを踏み、ラスボスまで辿り着くには二人が必要だ。
つまり、死なせるわけにはいかない。
「ソウゴ、お前は主人公だから死ぬな」
「モブ、お前は自分の命を何だと思ってるんだ!?」
俺にとって二人は、大切な攻略要員。
だから守る。
ポーションを顔面に投げつけてでも守る。
ボスが二人を狙えば、もっと危険な攻略法に切り替えてでも俺が引き受ける。
ただし、ボスだけは譲らない。
巨大な魔獣。
水面の波紋を追って殺しに来る鐘守。
ゲームでは知っていたはずの敵が、現実になったことで未知の動きを見せる。
それでも観察する。
死にかける。
攻略法を作り直す。
そして笑う。
「これが、死にゲーだ」
そんな俺を、ソウゴとユーフェリアはなぜかますます信頼していく。
俺はただ、ラスボスまで最高の縛りプレイを続けたいだけなのに。
一方、レガリアを巡って暗躍する聖王国の重鎮たちから見れば、未来を知っているかのように危機を突破し、継承者と聖女を動かし、常識外れの力まで隠し持つ俺は――どう考えても放置できない危険人物らしい。
味方には尊敬される。
敵には警戒される。
本人だけは、そんなことより次のボスの攻略法を考えている。
100兆ポイントを持つ死にゲー廃人が、最後まで初期ステ縛りを貫いてラスボスを狩る。
これは、世界を救う主人公の物語――のすぐ隣で、誰より楽しそうに世界を攻略するモブの物語。
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※カクヨム/小説家になろうにて連載中。
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