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西脇文月 2014/03/18 公開 2014/03/18 17:30 更新
還暦を契機に営んでいた生花店をたたんで北海道に移住した省吾と真希子夫妻。離婚し再婚する息子孝之の結婚式に出席するため東京へ向かう。移住準備期間中に怪我をして入院してしまった省吾の母親。63歳の兄と二人暮らしの真希子の母親。老母を含め、親族は一人も出席しない。勿論、孝之の長男耕介もだ。夫妻にとってたった一人の孫耕介は別れた多恵の許にいる。離婚後も多恵の母親を介して耕介とは会うことができていた。今回も式の翌日に会えるはずなのだが…。離婚といえば、孝之の姉長女の瑞希も同時期に結婚生活を破綻させている。姉弟二人とも。親としては複雑な心境だ。華やかな式場内で自分の心の在りかだけが暗い影に覆われている気がする省吾だった。子供たちの離婚、母親たちを東京に残しての移住。新生活への不安。その沈みがちな省吾の心に火を灯したのは従弟からの手紙だった。
省吾の母親は従弟夫妻にに面倒を見てもらっている。もし彼らの善意がなかったら、移住生活は東京での生活の二の舞を踏んでいたかもしれない。嫁姑の確執。省吾は自身のちから不足を痛感している。事態を真正面から受け止め、試練と向き合う姿勢をとりたいと思うのだ。そのためには自分が変わらなければならないと決意する。還暦の意味を振り返れば、生まれ変わるには今が唯一のチャンスなのだ。省吾は二人の母親を北海道へ呼ぶ決心をする。
従弟とも真希子ともよく話し合おう。どんな事態からも眼を背けない生き方をしよう。そうすれば、右へ行っても左へ行っても、間違った場所には出ないと省吾は思えるのだった。
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