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白崎リラ 2026/07/10 公開 2026/10/24 19:00 更新
「華がない。そんなに針仕事がお好きなら、いっそ針子にでもなればいい」——婚約破棄の夜、公衆の面前で嘲笑された伯爵令嬢リディアは、本当に王宮衣装室の針子になった。ただし新品を縫わせてはもらえない、最下層の「お直し係」。
けれど祖母仕込みの針は、破れたドレスも、着る人の隠しごとも、静かに直していく。急な謁見、破れた式典外套、三十年前に焼けたはずの礼服。直した一着ごとに、王宮のどこかで囁きが増えていく——「見事な仕立てね。誰の手?」
「冷徹の吝嗇卿」と噂される式典局長だけが、誰より先にその針の値打ちに気づいていた。
やがて彼女の前に立ちはだかるのは、「直し」を職として認めない王都仕立て組合の規約。名簿に載らない弟子、値の付かない仕事、そして祖母の名が消された理由——針一本で、今度は決まりごとを縫い直す。
そして第三部「婚礼編」。祖母の長持ちの底から、裁たれたまま一度も縫われなかった布が出てくる。王女の御婚礼を前に、古い婚礼令は告げる——『御婚礼の御衣装は、新調に限る』。直すことばかりしてきた針で、今度は新しい一着を仕立ててよいのか。
これは、捨てられた令嬢が、捨てられるはずだった物たちと一緒に、自分の居場所を縫い直していく物語。虚飾を着た人たちの化けの皮は、勝手に綻びていきます。
第一部・第二部(全60話)は完結済み。第三部「婚礼編」を毎日19時に更新中。恋はゆっくり、最後はちゃんと幸せに。 派手な復讐より、静かにじんわり報われる話が好きな方へ。
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