歴史 連載中・全26話

『祝言を白紙にされた女筆師は、大身旗本の若君に執着される 〜筆で暴く江戸恋捕物帳〜』

常陸之介寛浩✪書籍・本能寺から始める信長との天下統一 2026/04/19 公開 2026/04/26 06:30 更新

あらすじ

あらすじ

祝言の当日、花嫁衣装のまま婚家から追い返された娘・志乃(しの)。
理由は語られず、残ったのは「縁起の悪い女」という汚名だけ。婚家にも実家にも居場所を失った彼女が頼れるのは、幼いころより磨いてきた筆の才だけだった。

代筆、清書、書付の整理。
食うために筆を執り、人知れず日銭を稼いでいた志乃は、ある日一通の書状から、武家社会の奥に隠された“嘘”へと触れてしまう。

その才を見抜いたのは、江戸でも名の知られた名門、徳川家康の重臣・榊原康政の分家筋に連なる大身旗本家の若君、榊原清雅。
風雅を好む優男、女にも不自由しない遊び人――そんな噂を笑うようにまといながら、実際の彼は、旗本家同士の縁談、奥向きの諍い、消えた証文、家を揺るがす密事を密かに裁く、底知れぬ切れ者だった。

「おまえの筆は、飾るためのものではない。隠された真実を引きずり出すためのものだ」

半ば強引に志乃を手元へ置いた清雅は、彼女に名家の裏で起きる数々の厄介事を見せる。
すり替えられた血判状。
消えた離縁状。
偽りの縁談書。
女たちの沈黙に埋もれた奥向きの悪意。
男たちが見落とし、家の体面の陰に葬ってきた秘密を、志乃は筆と観察眼で一つずつ暴いていく。

だが、事件を追うほどに明らかになるのは、自分の祝言が白紙にされた裏にもまた、名門同士の思惑と隠された企みがあったという事実だった。
なぜ自分は花嫁の座を奪われたのか。
なぜ榊原清雅は、それほどまでに自分へ執着するのか。
そして、彼が最初から知っていた“あの日の真相”とは何か。

これは、婚礼の日に人生を白紙にされた女が、
徳川譜代の名門に連なる若君に執着されながら、
筆ひとつで江戸の嘘と自らの運命を書き換えていく物語。

恋も、陰謀も、身分も、しがらみも。
白紙にされたその先にこそ、わたしの生がある。

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