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ちょこだいふく 2026/03/06 公開 2026/03/06 20:00 更新
昼下がりの光は、いつも柔らかくて気持ちが良い。
タワマンの上層階は今日も静かだ。
街のざわめきは遠く、ここだけ別の時間が流れているようだった。
今日も特にやることはない。
親が残してくれた部屋と、不動産収入のおかげで、私は外に出ずに生きていける。
……正直、外は苦手だ。だからありがたい。
ベランダの椅子にもたれて、温かさに身体を預けているうちに、
まぶたがゆっくりと落ちていく。
——うとうと。
くすっ、と誰かの笑い声がした。
(……え?)
重たいまぶたを開けると、そこは教室だった。
中世風の制服をまとった令嬢たちが、
こちらを見下ろすように薄く笑っていた。
(……夢か)
せっかくの夢なのに、
馬鹿にされる夢なんて本当に意味がわからない。
くすくす笑う声が耳に刺さる。
その瞬間、遠い昔の学生時代の景色がふっと蘇った。
——あの時みたいだ。
廊下を歩く私に、聞こえるように。
けれど咎められないギリギリの距離で嘲り笑う、あの感じ。
思い出しただけで、口の中がじわりと苦くなる。
(……やだな。夢でまで思い出すなんて)
私は立ち上がり、逃げるように教室を出た。
廊下の空気はやけに冷たく、熱を帯びた頬を冷ます。
きらきらした制服姿の令嬢たちが行き交う様子が、
すべて“本物の夢”みたいにぼんやりして見える。
どうでもよくなって、校舎の外へ出る。
中庭の噴水の音が遠くで響いている。
花の香りまでやけに鮮明だ。
(……夢にしては、リアルすぎない?)
そう思いながら石畳の上をふらふらと歩いていた、その時。
「——お嬢様!こちらにおられましたか!!」
慌てたような声が響いた。
振り向くと、従者らしき青年が、息を切らしてこちらへ駆け寄ってきていた。
彼は私の顔を見るなり目を見開いた。
「お、お嬢様…お顔の色が……!体調が悪くなられたのですね!?」
え、なにこれ夢…だよね?
え?
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