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アノニーさん 2026/03/21 公開 2026/07/14 06:18 更新
ヒトが本来持つ免疫機能を利用した研究が盛んに行われるようになった近未来。
これまで無償提供を原則としていた血液、骨髄、母乳などのヒト由来資源は、厳格な管理と一定の条件を満たす事で、提供者が対価を受け取る「有償提供」が認められるようになっていた。
2040年代前半。
世界では、変異の速度が極めて速く、既存のワクチンでは十分な効果を維持できない新興感染症が拡大していた。
政府は、ヒト由来の免疫成分を利用した新たな感染防御法と予防薬の開発を目指し、国家規模の研究計画――「Project Lacta」を始動する。
父親を感染症で失った過去を持つ石井彩佳は、人を助けることに強い思いを抱く一方、自分自身を後回しにする自己犠牲的な選択を無意識に繰り返していた。
母乳バンクとして、また、乳汁由来の免疫成分を扱う企業で働いていた彩佳は、Project Lactaに関連する臨床試験の被験者として、製薬会社の研究施設へ出向することになる。
多くの人を救える可能性があるなら――。
不安を抱えながらも参加を受け入れた彩佳だったが、その試験は、安全性が十分に検証されないまま進められていた。
そんな中、試験中、彩佳の身体に重大な異変が起こる。
生死の境をさまよいながらも生還した彩佳は、以前と同じ生活には戻れないほどの後遺症と、試験を止められなかった人々の罪悪感、そして組織が隠そうとする過去に直面していく。
人を助けるためなら、自分を犠牲にしてもよいのか。
誰かを救うことと、その人の意志を尊重することは、同じなのか。
そして、本当の意味で「助ける」とは何なのか。
感染症と医療研究をめぐる社会の中で、一人の女性が自らの生き方を見つめ直し、人生を選び直していく。
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