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桜 2025/10/14 公開 2025/10/20 20:35 更新
魔法使いのハルがバーテンダーをつとめるバー「ティエラ」。
琥珀色に磨かれたカウンターに七席のスツール、あたたかな間接照明が灯る小さなバーは、常に存在するようでどこにも存在しない。
その入り口は導かれる者の目にしか見えず、そのときにしか開かない。
扉の内側で、ハルは、少年の容貌で微笑みを浮かべ客を出迎える。
そして、そこで出されるカクテルには、毎夜違った魔法が一つまぜられる。
カクテルの持つ言葉に紡がれて心に綴られていく魔法。
辿り着いた者の心に寄り添い溶け合うそれは、常に目の前の一人の願望を映すオリジナルであり、唯一無二の一杯となる。
口にした者はそのカクテルに酔いしれ、己の心の奥深く、または目に見えぬように覆い隠した真実に触れる。そこは命あるものすべてが分け隔てなく招かれる場所。
そしてハルとともにティエラに住まう五歳の少年シュウは、魔法により命を繋いでこの世にいる。ハルを慕い、ハルの一番の理解者であり、ハルのカクテルの信望者だ。
シュウはいつも指定席となった入口近くのスツールで真っ先に客を出迎える。そしてティエラにおけるすべての事柄を見つめ続ける。
ハルの生みだす優しさと真実のまざるカクテルは、愛と生と死の琴線に触れ、人生のほんの一筋の道を照らす道しるべとなる。
いつ終わりが来るかもわからないバーで、今宵も一夜の魔法の夢に誘われ、誰かが引き寄せられる。
それが魔防使いのバーだ。
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