ポイント
日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。
読者の反応
- ブクマ
- 2
- 感想
- 0
- レビュー
- 0
- 評価者数
- 1
- 平均評価
- 10.00
- 週間読者
- 202
ブクマと評価ポイントの推移
日別の値
「全期間」は直近30日分までを表示します(リアルタイム表示では、これに現在値が加わります)。
総合ランキングの推移
順位を読み込んでいます…
Nasu Takako 2026/10/11 公開 2026/10/30 18:40 更新
推定純資産4000億円。
榊原征一は、地方の商店の家に生まれ、20代で起業した。不動産、物流、IT、再生可能エネルギー、海外投資、事業再生へと事業を広げ、巨大企業グループを築いた男である。
銀行は彼を信用し、投資家は彼の未来を買い、周囲は彼を「資産4000億円の男」と呼んだ。
だが、その4000億円は現金ではなかった。
自社株、不動産、事業権益、投資先持分、将来収益への期待。数字は大きく見えても、支払日に使える金とは限らない。
総事業費800億円の大型事業。
自己資金300億円、銀行団からの借入500億円。
榊原にとって借入は、未来の収益を現在の投資へ変える道具だった。
「必要なら借りればいい」
その判断は、かつて何度も彼を成功へ運んできた。
しかし、成功した時には正しかった判断が、環境が変わったあとも正しいとは限らない。
工事費の上昇、工程の遅れ、担保評価の見直し、株価の下落、追加担保、銀行団の判断、売却できる資産と支払日に必要な現金の差。
資産はある。
会社もある。
事業も動いている。
それでも、支払日に必要な現金が足りなくなっていく。
一日待つ。
一週間延ばす。
売却を見送る。
追加融資を頼る。
まだ間に合うと判断する。
その小さな遅れが、巨大な信用を少しずつ削っていく。
やがて榊原は、会社の支配権を失い、肩書を失い、個人保証による債務だけが残る。
口座残高は、1,842円。
個人債務は、327億円。
かつて4000億円を動かした男は、コンビニで398円の弁当を見て立ち止まる。半額になった199円の弁当を前に、「買える」と思う。
これは、金持ちが破産する話ではない。
銀行に裏切られる話でもない。
貧困で人間性を取り戻すという安易な美談でもない。
成功した理由によって壊れた男が、生活の小さな数字と向き合いながら、自分の手で信用を作り直していく物語である。
日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。
「全期間」は直近30日分までを表示します(リアルタイム表示では、これに現在値が加わります)。
順位を読み込んでいます…