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空席あり 2026/10/14 公開 2026/10/14 19:30 更新
ラウルは八年間、勇者遠征隊で荷運びと補給路の確認をしてきた。
魔王城への最終攻略を前に、戦闘力のない彼は勇者一行から外され、後方拠点へ回される。
不満はあった。
だが、決定自体は合理的だった。
ところが三日後、魔境一帯を大規模な地鳴りが襲う。
正規街道は崩落。
地図に載る二本の退路も塞がれ、前線には勇者一行を含む六十人以上が取り残された。
救援隊が地図を広げる中、ラウルは言う。
「その道は、帰りには使えません」
彼が覚えていたのは、遠征中に何度も歩いた獣道、廃鉱道、水の湧く岩棚、荷車を捨てれば通れる古い巡礼路。
派手な剣技も魔法もない。
それでも、人を生きて帰すための道は知っていた。
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