歴史 短編

      白 日 夢 残 照 ――異次元世界へ行った男の話――

堀本廣 2019/10/27 公開 2019/10/27 09:03 更新

あらすじ

 主人公久本信吉は土地の売買の為に大野海岸にある恩田宅に行く。その途中、海岸を見ようと久本は護岸堤防に登ろうとする。
 その時、眩しい光りが久本を包み込む。眼がくらみ、失神寸前となる。光りが薄れて、眼を開けた時、眼の前には大きく拡がる白浜と、青々とした海、褌姿の日に焼けた男達、素裸で遊ぶ子供達が屯していた。
 目の前に大きな屋敷がありそこから中年の小太りの女が駆け出してきて、久本を無理やり屋敷の中へ引っ張り込む。彼女は久本を自分の息子――庄助――と思って連れ戻したのだ。
 屋敷の主は大野村の網元で、塩崎正太郎、女は妻のうめ、庄助は1人息子だったのだ。
3日後にせまった庄助の婚礼に、庄助本人が外に飛び出して、行方知れずだったのだ。久本は庄助と瓜2つだった。
 久本は明治3年の大野村に入り込んでしまった。もはやここから出られないと知って、庄助になりきって生きていくことにした。
 婚礼も終わり、冬に妻が懐妊する。野間の富具岬から1人の女が、久本の身の周りの世話のためにやってくる。名前を菊という。
 毎日、菊と過ごすうちに、彼女が好きになる。久本は菊を連れてあちらこちらを歩いて回る。こうして1年がすぎる。
 秋になり、その年の10月に菊は野間に帰される事になる。
菊の家は水飲み百姓で、不作に為、年貢を納められず、菊を名古屋の女郎部屋に売るために、一旦家に戻される事になったのだ。
 菊を好きになった久本は、意を決し、菊と一緒に船で伊勢に逃げる事になるが、野間の富具崎を遙かに望む海岸に来た時、追っ手が現れて、菊と共に海に飛び込んで死を選ぶ。
 久本は気が付いた時は、恩田宅の近くにある病院に寝ていた。彼は恩田宅の近くで眼がくらみ、そのまま護岸堤防を上り、海の中に入っていったのだった。運よく助けられたのだ。
助けられて、白日夢を見たのだと言われる。
 久本は――あの世界の出来事――はあまりにも生々しいので調べたが明治3年には大野村には塩崎家という網元は存在しないこと知るのみだった。
 それと同時に久本に身辺に異変が起こる。夜寝ている時にもう1人の自分が側にいるのを知る。
――庄助――が久本の体から出ようとしているのだった。
 そして菊がこの世に生まれ変わっているのを知った。久本は菊と結婚しょうとするが、その矢先、久本の体から飛び出した庄助と、元の世界へ行ってしまうのだった。

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10/29 0 ±0 2 ±0
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