異世界恋愛 短編

神子を処刑した王国の末路

猫撫子 2026/10/29 公開 2026/10/29 17:19 更新

あらすじ

百年に一度、神々の寵愛を一身に受ける存在――『神子』が、この世界には生まれる。

神子を敬い、大切に扱う国には百年の繁栄が約束される。反対に、神子を虐げ、傷つけた国には、神々の怒りによる滅亡が訪れる。

しかし、その秘密を知る者は国王と王妃、そして限られた上位貴族の当主だけ。神子は身分に関係なく国民の中から選ばれるため、王侯貴族ですら、神子が誰なのかを知らぬまま一生を終えることも珍しくなかった。

その神子に選ばれたのは、貧しい子爵家の令嬢、エレノア・フォン・リーベルト。

彼女は幼い頃から不思議なほど神々に愛されていた。枯れた花は彼女が触れれば蘇り、干ばつの村では雨が降り、彼女の祈りは人々に奇跡をもたらした。しかし、神子であることを知らされていた彼女は、その力を誇ることなく、ただ人々のために生きていた。

そんな彼女の婚約者は、王国の第一王子、アルベルト。

ところが、アルベルトは頭の軽い男爵令嬢、ミレーヌに夢中になっていた。エレノアを邪魔者としか考えなくなった彼は、国王が隣国へ外交に出向き、王宮の監督が緩んだ隙を狙う。そしてミレーヌと共謀し、エレノアに王室宝物の窃盗と王族暗殺未遂という身に覚えのない罪を着せた。

「子爵令嬢ごときが、王太子である私に逆らうからだ」

彼は婚約破棄を宣言し、エレノアを処刑しようとする。

王妃の制止も、上位貴族たちの警告も、彼には届かなかった。自分こそが次代の王であり、すべてを思いどおりにできると信じていたからだ。

だが、彼らは知らなかった。

自分たちが処刑しようとしている少女こそ、王国を百年の繁栄へ導く神子であることを。

そして、神々はすでに、彼らの愚行を見届けていたことを。

一人の少女を踏みにじった愚かな王子と、その愛人。彼らが手に入れたつもりの栄光は、神々の寵愛を失った瞬間から、音を立てて崩れ始める。

これは、神子を捨てた王国の破滅と、すべてを奪われた子爵令嬢が自らの尊厳を取り戻すまでの物語。

ポイント

総合ポイント 110
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