純文学 完結・全8話

神々の血を啜る子供たち ――祈れば救われる国で、僕らだけが餌だった

アコンプリスの人 2025/11/07 公開 2025/11/08 07:45 更新

あらすじ

子供を犠牲にしなければ維持できない世界を、子供たちは拒絶した。
――
 神聖共和国ヴァルキアでは、戦争孤児の中でも特に「神に近い血」を持つ子供たちが、聖児兵として戦場へ送られていた。

 十五歳の少年兵カイ・アーベントも、その一人だった。
 神に選ばれ、国を守るために戦う。そう教えられて育ったカイは、初めての戦場で奇跡を見る。白い光が空に立ち上り、死にかけた兵士たちの傷が塞がっていく。

 だがその奇跡の裏で、カイは見てしまう。
 装甲車両から運び出される、小さな布袋。
 そこから覗いた、子供の手を。

 夜、神殿の地下でカイが出会ったのは、白い管に繋がれた少女リスだった。
 彼女は告げる。

「祈りなんか届いていない。届いているのは、血と悲鳴だけ」

 神は子供たちを救っているのではない。
 子供たちの血と恐怖と祈りを啜って、世界を動かしている。

 やがてカイは知る。
 敵国の子供たちもまた、同じように神へ捧げられていることを。
 そして戦争そのものが、神々へ捧げる孤児を生み出すための巨大な仕組みだったことを。

 これは、神に選ばれた子供たちが、神の餌であることを拒む物語。

 神のために死ぬのではない。
 国のために血を差し出すのでもない。
 奪われた名前を取り戻すため、子供たちは祈ることをやめる。

――
登場人物紹介

カイ・アーベント:神聖共和国ヴァルキアの十五歳の聖児兵。神に選ばれた少年から、神の血を止める者へ変わっていく。

リス・ノーラ:聖血炉に繋がれていた少女。血と祈りで動く神々の仕組みを知る、物語の鍵。

ユダ・ベルク:カイの同期の少年兵。誰よりも神を信じていたが、奇跡のために捧げられる。

ミラ・イェルム:敵国ザイレンの少女兵。弟ノアを神に奪われたことを知り、カイたちと行動を共にする。

ノア・イェルム:ミラの弟。病死したとされていたが、実際は女神の聖血炉へ捧げられていた。

司祭長エーベル:神聖共和国の司祭長。神々を維持するためなら、子供の犠牲も必要だと信じている。

レイ:赤い塔の聖血炉から救い出された少年。神のいない世界で、自分の名前を呼ぶことを覚えていく。

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