ヒューマンドラマ 短編

会話

さば缶 2025/01/15 公開 2025/01/15 09:01 更新

あらすじ

「ねえ、あの『ロリータ』の主人公ってさ、マジで精神的に終わってると思わない?」私は体育館裏で友だちの由香に向かって声を潜める。
「ああ、あの中年の男? 未成年の女の子にベタベタ執着してるやつでしょ。聞いただけで吐き気がするんだけど」由香は上履きの先で砂利をかきまわしながら、しかめっ面になる。
「しかも自分はただのロマンチストだって言い訳してるのがサイテーだよね。あの男のどこが愛なの? ただの身勝手な欲望じゃん」私は呆れたように口を開く。

夕陽の光がガラス窓に反射して目にしみる。私は手で遮りながら、今度は『痴人の愛』の男の方を思い出す。
「あっちも負けず劣らずヤバい。子供同然の女の子を自分好みに育てようとか、正気の沙汰とは思えない」
由香は眉間にしわを寄せて振り返る。
「それで女の子が言うこと聞かなくなると被害者ぶるんでしょ? 虚栄心の塊にしか見えないよ。コントロール欲求エグすぎ」

「本当にさ、自分の都合よく『若い娘の純粋さがどうたら』とか『美の権化を育成したい』とか言ってるけど、要はペット感覚で支配したいだけじゃん」私は肩をすくめて嘆く。
「だよね。しかも、都合が悪くなると『おれは愛してただけなんだ』って悲劇ぶるんでしょ?」
由香は溜息と一緒に言葉を吐き出す。

「こっちは全然同情なんてできないよ。自分の欲求を愛だの芸術だのにすり替えてるだけで、ぜんぜんロマンチックじゃない」
私の言葉に、由香は強くうなずく。
「そういう奴らにとって若さってアクセサリーなのかな。何でも思い通りにできる人形扱いとか、本当に悪趣味だと思う」

まばらに聞こえる吹奏楽部の練習の音が、微妙に物悲しく響く。
私はスマホの時間を確認して、そろそろ昇降口に戻ろうと促す。
「……まあ、結局ああいう主人公を美化するのって、自分も同じ欲望を持ってる読者が『そういうのもアリかも』って免罪符を得たいだけなんじゃないの。私らからしたら、どっちもただの醜い言い訳にしか見えないけど」
そう言い捨てて、私は校舎のほうへ歩きだす。

夕空の下、由香はもう一度大きくため息をついてから、小さくつぶやいた。
「……ああいうの、早く時代の遺物になればいいのに」

ポイント

総合ポイント 10
日間ポイント 0
日間ランクイン [未取得]
最高順位 [未取得]
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日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。

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ブクマと評価ポイントの推移

10/28〜11/03(7日間)
ブクマ 0+0(7日間)
1 0 10/28 10/31 11/03
評価ポイント 10+0(7日間)
11 10 9 10/28 10/31 11/03

日別の値

新しい順・下の段は前日比
日付 ブクマ 評価P
11/03 0 ±0 10 ±0
11/02 0 ±0 10 ±0
11/01 0 ±0 10 ±0
10/31 0 ±0 10 ±0
10/30 0 ±0 10 ±0
10/29 0 ±0 10 ±0
10/28 0 ±0 10 ±0

「全期間」は直近30日分までを表示します(リアルタイム表示では、これに現在値が加わります)。

総合ランキングの推移

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