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GERO 2025/07/01 公開 2026/02/15 00:30 更新
この物語は、まだ、フィクションです。
はじまりは、いつものニュースだった。
熊が市街地に出た。
猪が住宅街を走った。
鹿が道路を塞ぎ、猿が人を襲った。
もう珍しくもなくなった、野生動物のニュース。
専門家は異常気象や自然破壊、山村の過疎化や高齢化によるものだと決めつけて、
誰もが、画面の向こうの出来事だと片づけていた。
だが、事態は想像を遥かに超えていく。
群れないはずの生物が群れ、
草食動物が肉を食らい、
食物連鎖の上位にいる生物さえ襲われ始めた。
生態系の下剋上。
その矛先は、やがて人類社会へ向けられる。
世界中で被害は深刻化し、
空港は鳥の群れに止められ、
海では船が戻らなくなり、
幹線道路は野生動物によって寸断されていく。
いつも見ていたニュースは、
人類社会を脅かす災害の前兆だった。
獣害は災害となり、
世界各国でロックダウンが相次いだ。
日本政府は自衛隊を展開し、
住民を避難所へ集約。
山間部や危険区域を封鎖し、
人々に厳しい行動制限を求めた。
それでも人類は、かろうじて社会を維持していた。
そこへ、太陽フレアが最後の一撃を加える。
スーパーフレア。
それは音もなく訪れ、
世界中のインフラを停止させ、
電子機器を悉く沈黙させ、
人類の文明レベルを産業革命以前へと引き戻した。
北海道の避難所に取り残された人々は、
野生動物の脅威に怯えながら、
失われた文明の残骸を拾い集め、
迫り来る冬を越えるために日々を繋いでいく。
しかし、世界の異変は終わっていなかった。
冬が明けた頃、
物資を求めて外へ出た人々は、
文明の残骸に残された何者かの痕跡と、
以前とは比べ物にならないほど変貌した生物たちを目にする。
変わっていたのは、生物だけではない。
人間もまた、
科学だけでは説明できない力に目覚めはじめていた。
生きるため。
文明を再建するため。
まだどこかにいるはずの生存者を探すため。
人々は今日も、外の世界へ踏み出していく。
そんなある日、
物資調達に出た彼らは、
森の中で倒れていた一人の少女を助け出す。
人々が「魔法」や「超能力」と呼ぶ力を、
少女は、はっきりと否定した。
『それは魔法じゃない……零子(れいし)っていうの』
この出会いが、
彼らの運命を大きく変えていく。
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