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熾星 2026/08/05 公開 2026/08/05 16:00 更新
秋の三連休に予定していた結婚式の打ち合わせをするため、両家の家族が市内のホテルに集まった。私と黒川拓海は八年間付き合っており、テーブルには式場のパンフレットが何冊も並んでいた。親たちが招待客について話し合う横で、拓海はスマートフォンを個室のBluetoothスピーカーにつなぎ、披露宴で流す予定の曲を再生していた。
一曲目が終わった直後、拓海のスマートフォンに音声メッセージが届いた。まだスピーカーと接続されていることを忘れていたのか、彼は無意識に再生ボタンを押した。
「拓海、いつ帰ってくるの? 新婚なのに、今夜も一人で寝ろっていうの?」
若い女の甘い声が、個室いっぱいに響き渡った。誰もが口を閉ざし、拓海は血の気を失った顔で慌てて接続を切った。けれど「新婚」という言葉は、すでにそこにいた全員の耳に届いていた。
私は、その声を知っていた。
水野奈緒。四年間、私が手塩にかけて育ててきた教え子であり、かつては誰よりも信頼していた相手だった。
最初に我に返ったのは、拓海の母親だった。箸を置き、息子をまっすぐ見つめる。
「どういうことなの?」
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